November 09, 2007

蜘蛛女

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東京芸術劇場にて“蜘蛛女のキス”を観劇。
中ホールには初めて入ったが、なかなか観易くて良い劇場だった。

〜蜘蛛女のキス〜

舞台はブエノス・アイレスの監獄―――
未成年への猥褻行為により投獄されている同性愛者のモリーナ(石井一孝)。映画好きで空想家の彼は、同室の革命家ヴァレンティン(浦井健治)に憧れの女優オーロラ(朝海ひかる)の話を熱く語って聞かせている。
最初は敵意を剥き出しにしていたヴァレンティンもモリーナの人柄に和まされ、徐々に心を通わせてゆく2人。
しかし、モリーナは仮釈放と引き換えにヴァレンティンからゲリラの情報を聞き出すよう命令されてしまう…病気の母親(初風諄)を心配する彼は嘘の情報でなんとか出所にこぎつけ、ヴァレンティンの頼みで彼の恋人マルタ(朝澄けい)に電話で暗号を伝える。
ところが尾行していた刑事に見つかり、モリーナは射殺されてしまうのだった。
煌びやかなショウの中でオーロラや母親、ヴァレンティン、今までに出会った人々が走馬灯のように巡り、楽しげに踊る……


“タランテラ!”コンビで再び魅せる“蜘蛛”の美学。
背徳美やらファム・ファタルはもともと個人的に好きなテーマなのだが、今作はミュージカルとしての見応えももちろん、繊細な心理描写や官能的なヴィジュアル…荻田先生、さすが。この方、やはりお耽美だ。
なにより蜘蛛女(オーロラ)にコムさんというキャスティングが憎い限り。そして、この方もやはりお耽美。
人間味を感じない役者…もちろん良い意味で、蜘蛛っぽいのかもな(笑)劇中、歌いながら蜘蛛の脚を真似た動きで鉄棒を這っていくコムさんの指が、不気味と美しくすっかりやられてしまった…
映画の場面ではラテン音楽に合わせ、持ち味の華麗なダンスで魅せてくれていたが、今回コムさんは歌がとても素敵で印象に残った。
全体を通し、明るいナンバーの中にもどこか澱んだような気持ち悪さがついてまわり、一筋縄ではいかない難しさがあったように思う。善悪や美醜というような相反するもの、この作品のテーマでもあるであろうそれらを非常に巧く表現してくれていた。

また、コムさんと直接的な絡みはあまり無かったがモリーナ役の石井さんも歌が巧く華のある素敵な役者さんだった。
彼のモリーナはチャーミングで情に厚い魅力的なキャラクターで、とても惹き付けられた。明るく装う事で殻に閉じ籠ってきた彼がヴァレンティンとのやり取りの中で成長し、夢想を越え、オーロラを越えて真の“主人公”となっていく様は自然かつ見事だった。



◇所属劇団◇
幻想芸術集団 Les Miroirs

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alf_maria_lully at 19:27│Comments(0)

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朝霞ルイ

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