September 10, 2011

手紙

言葉を刈り取られたところで、
この胸が血を流すことも無い。


魂は常に軽やかな翼を従え、
櫟の樹を越え、
黒く尖った柵を越え、
真っ直ぐにその開け放たれた窓へ飛び込むだろう。


瞳閉ざされようと、
瞼越しの夢のなか、
愛しい姿を描きつけよう。


思考はそっと、
密かな夜に溶けたまま…

この文に隠された名を、僕は知っている。
けれど偽りが、
赤黒く艶めく蝋封が、僕の影をも綴じてしまったようだ。




ひとり居の夜の寂しさを
調べ悲しく歌いたもうな。
否、優美なる者達よ、夜は
睦まじき語らいの為に在るものを。

貴女が私の、この上なく美麗な
半身として与えられもしたように、
夜はこの世の半ば、それも
この上なく美しい半ばというのに―
"Philine"


◇所属劇団◇
幻想芸術集団 Les Miroirs

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alf_maria_lully at 08:32│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by AKI   September 10, 2011 17:39
言霊となるように声に出して今読んでみました。

>魂は常に軽やかな翼を従え

とか、特に
2. Posted by Louis.A   September 11, 2011 06:38
AKI様
ありがとうございます。
音にされて初めて昇華されるのが「台詞」と云うものです(笑)
これが舞台のうえで流れるのは、いつになるやら…

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