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石砂山(いしざれさん)へ行ってみた。
神奈川で唯一、岐阜蝶の発生する場所として有名な山である。が、春の女神と謳われる麗しのギフチョウさんは毎年ほんの束の間しか姿を現さない為、4月も後半の今となっては既に時期外れ。
分かってはいたのだけど、もう何年も行く機会を逃している身では、一度行ってみるだけ行ってみたいと思う場所だったのだ。なので、普通にハイキング気分で(笑)

ところが、駅から登山口行きのバスを間違え、出だしからつまずく…
循環バスに乗ってしまい、再び藤野駅(苦笑)
正しいバス停を教わり、時刻表を見てみたが、目的地へ向かうバスは約2時間間隔でしか運行していないことが判明。
確か乗り換えも必要なんだよな?これは…まずい。
先程乗ったバスの車窓からタクシーの営業所が見えたことを思い出し、行ってみる。登山口までの料金を訊ねたら思いのほか掛からなかったので、タクシーを頼むことに。

篠原まで頼むと、気の良さそうな運転手のおじ様に「ギフチョウですか?」と早速訊かれる。案の定、この辺りにはこの蝶の存在くらいしか観光資源が無い様子。
「ギフチョウねえ、まだ居るんですか?」と、何を照れたかまるで興味無さげに返してみるわたし(苦笑)
「先々週くらいまでですね」
…やはり。しかし、ギフさんでなくとも蝶は居るだろう。

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タクシーを降りて山へ向かう。
晴れてきて気持ちが良い。
天狗蝶らしい蝶が、民家の庭に居りテンションが上がる。
が、そのテングチョウを最後にこの山では蝶と名の付く生物には遭遇出来なかった。この子を無理矢理でも写真に収めなかったことは、この誤算まみれの一日のなかでも最大の誤算である。

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石砂山入口にて、蛭(ヤマヒル)発生の為にヒル避けスプレー?使用を促す注意書き&液体入りのスプレー容器。
足元に噴き掛けようとし、パンツに大量に浴びる(苦笑)かぴかぴする…
と、とりあえず…これで確実に蛭には襲われまい…

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石砂山は、頂上付近の0.5km程の急さがやや辛いのみ。40〜50分ほどで案外簡単に登れてしまった。
その間に出会った他の登山客は1名のみだが…
頂上で景色を眺めつつ少し休んでいると、山椒を摘むじいさんに遭遇。じいさんの勧めで篠原には戻らずに伏馬田というバス停へ向かう道を行ってみることに。

ところが…
最初はなだらかで楽しそうに見えた伏馬田までの道が途中から急変。
段々道幅が狭くなり、ついに…

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道ではなくなる(苦笑)
写真で巧く表せないのが残念だが実はかなり高い、落ちたら大怪我しそうな崖である…足元はぎしぎし云う上に枯れ葉で滑るし流石に怖かった(泣)
道なのか危険なアスレチックなのか分からんこんな場所が暫く続くのである。山椒のじいさんを心の底から恨んだのは言うまでも無い。

ひたすら独りで進むうち妙にハイになり、笑うしかないと開き直り始める。
調子外れな口笛など吹き始めるも、無意識に口ずさんだヴィターリの「シャコンヌ」に我に帰る。脳がまだ先日の舞台を引き摺っている様子(苦笑)

やっと道路らしいところに出て、ダム?に架かる目が眩みそうな高さの橋を渡り、やっとバス停に出る。
途中から何となく嫌な予感はしていたが、此処も殆どバスが来ない。次のバスまで1時間以上待つ、ナビを取り出すも最寄り駅まで15kmという絶望的な状況。
神奈中バスめ!
こうなれば、切り札を出すしか有るまいな。先程のタクシー会社から貰った名刺を出し、電話。

30分ほどして迎えにやって来た車、数時間前と同じ運転手である(苦笑)
「さっき篠原まで送ったお客さんですよね、この短時間で山越えたんですか?!」はい、道が危なすぎてさっさと進みました。
帰る前に温泉に寄って帰ろうと、東尾垂という日帰り温泉へやって貰う。
わたしの散々な様子を見て不憫に思ったのか、運転手さんがかなり手前でメーターを切ってくれた。優しい。

観光地というよりは殆ど地元民の保養施設という風情。値段も銭湯並みのリーズナブルさ。
露天風呂、ミストサウナがある浴場で登山の疲れを癒す。食堂で山菜の天婦羅とビールを注文。大自然の中でまったり晩酌。
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湯冷めしてしまったので、帰りのバスの時間までもうひと風呂浴びる。着替えを持って来れば良かった(笑)

帰りは、施設から駅までの送迎バスを利用。バス、と云っても実際はワゴン車程度のものに相乗りする状態だが。
また駅での電車待ち時間も長く、やっと城へ帰り着いたのは22時過ぎ。
しかし、さくさく移動が出来ない、こんなゆるゆるした旅もたまには良い。いや、わたしの無計画故なのだけど(苦笑)