December 31, 2015

2015

今年の活動は濃かった。これまで年間1〜2本舞台出演すれば充分といったところが、2015年は舞台6本+映画1本というボリューム。
年末によせて、ひとつひとつ振り返ってみた。


「poiche -純白い睡り-」2月
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構想だけなら4年近くか、やっと完成に至ったトリコロール最終章が久々の新作公演となった。
好きなものを詰め込み、我儘を言いまくる芝居の気楽さよ…瑞々しい感性を保って書くこと、わたし視点だけどノスタルジーを感じるものにしたいと作ってみました。ヴィジュアル面もかなり美しかった。
珍しくほっこり前向きな気分になれる芝居を目指してみたのは、人間的に丸くなったのかもなぁとしみじみ思った。
演者としては…朝霞史上稀にみる、絵に書いたようなヘタレ青年・タクソス君。伝説の蝶の精霊と亡き父による未完の戯曲を巡り、軟弱青年が成長をみせるという、或る意味でベタ過ぎる主人公像。
いかに冴えない雰囲気を出すかで試行錯誤しつつ、格好良い朝霞さんはほぼ封印で。わたし自身はこの手のいたいけなダメ男キャラは結構得意なつもりでいるのだけど、ここまで痛快なヘタレは珍しくなかなか手こずった。
器用な筈なのに何処か惜しい、愛すべきキャラクター。
タクソス君の少年時代、神話の世界のアモールも演じていたが、此方は凛とした爽やかさと愛らしさ…が出ていたら良いな。


「The Way Home」2月
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かなり前から企画のあった、オーストラリア人監督・カールによる短編映画。スケジュールの都合上、poicheの千秋楽翌日より撮影合流した為に、頭の切り換えに苦戦。
わたしの出演場面は決まった台詞が無く、即興芝居を長回しで撮られるという最も苦手なもの。撮影クルーも多国籍故にコミュニケーションも一苦労、ロケは殆ど一発撮りだったし…凄く精神を鍛えられる現場だった。
わたしの頂いたミアという役は少々ぶっ飛んだ子なのだが、元々「ルイさんにぴったりな役だと思う」と紹介して頂いた役なので…殆ど素です。
先日編集が終わったようなので、日本で公開する際はお知らせします。


「リチャード三世」4月
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まさかの古典史劇。重ねて以前から観ていたれんこんきすたさんの公演に出して頂くということで震え上がりながら臨む。
袖が無くキャスト全員が2時間晒されっぱなしという緊張し通しの舞台。昔観た安寿ミラさんのハムレットを思い出した。シェイクスピアの戯曲は往々にしてこの手の解釈が嵌まり易いのかも。
遊び心のある演出が為されていたにも関わらず、わたしの演じたヨーク公夫人セシリーはひたすら嘆き倒している役だったので、誰にも絡めずちょっと寂しい気分を味わっていた。老いるってこういう感覚なのかな(70歳)
とにかく重苦しい芝居のなかでも、更に笑える要素皆無の役。息子達は殺し合うし、敵の妃にも嫁にも辛く当たられ、救いの筈の孫まで奪われ…散々な役で稽古から悲しくて仕方なかった。苛められ芸のスキルが急上昇。
忠実な年齢設定よりもキャラクター重視でいこうとしていた筈が、周りがお婆ちゃん扱いしてくれるのでどんどん老けた(笑)


「アルカディアの夏」5月
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久々に三日月バビロンに演者として関わる。2010年の初演時からキャストが変わり新鮮な気分で臨む。
衣装さん、舞台裏方としても地味に動く。わたし今回の衣装はなかなか満足している。
二度目のシーバ君は浮遊感や軽さのある雰囲気を心掛けてみた。前回よりも細かいことが色々見えてきたぶん、逆に舞台上では多く出し過ぎない方が美しいかなと。
物語の本筋にはほぼ絡まないくせに美味しい役だが、故に求められているものに対して程好いと思われる存在感は凄く意識した。
初演時に感じたことも活かしつつ、より深みのあるものを見せられていたら良いなと思う。


「薔薇物語」10月
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舞踏会イベントBal d'Apollonにて、急遽上演する運びとなった中世フランス寓意物語の戯曲化。如何せん原作が膨大でまず苦戦。
朝霞がメインで演じた“わたし”という役は原作(下巻)ではジャン・ド・マン、つまりこの話の作者たる詩人。
古典の登場人物は感情の揺れ幅が物凄いので、短編芝居でも割とぐったりきた。台詞量も動きもかなり多かった訳だが…
セットが作れないことを逆手に取って、紗布を用いた演出を多様。全編生演奏での音響も雰囲気があって良かったのではないかな?
サーベル振り回す躍動的な朝霞さんは、舞台ではまず見れないだろう…


「櫟の館」12月
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とても気に入っている作品だけど、とにかく開き直って自分が格好良いと思い込まないと出来なかった(苦笑)
ダトル伯爵は台詞の大半が妄想と口説き文句という凄まじいナルシストでもある。
芝居における自信とはったりの重要性を再認識。


「trill -トリル-」12月
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今年二人目の自縛霊キャラ・トリルビー。
相手や場面によって目まぐるしく雰囲気が変わるので、意外と忙しくキャラクターを統一させるに苦戦。
喋らない場面が多く、どちらかというと妖精じみた雰囲気だったので、やはり独特の浮遊感のようなものは意識して動きに取り入れてみた。軽やかに動いていたつもりです、あれでも。


何か色々やったな…
どれも思い入れの深い役ばかりです。

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今年は、本当に人前に立たせて頂く機会が多く、また様々な経験や新しい出逢いを得ることが出来た充実の一年でした。
成せば成る、は成してみないと言えないことで、これだけの本数をこなした体力・精神力共に自信となりました。意外と、まだまだ自分いけるなと(笑)
気は廻るもので、使ったぶんだけしっかり還ってくるのだと思う。一緒に舞台をつくってくださった共演者様・スタッフ様、何より会場にお運び頂き朝霞ルイを観てくださった沢山のお客様からパワーを頂けた幸せな時間を噛み締めることが出来ましたことを心より感謝しております。
この熱を、勢いを留めることなく2016年に引き継いで行きたいと思います。
本当にありがとうございました。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

◇所属劇団◇
幻想芸術集団 Les Miroirs

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alf_maria_lully at 16:16│Comments(0)TrackBack(0)

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