May 2015

May 03, 2015

Richard |||

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「リチャード三世」全6ステージ、無事に終幕致しました。
ご来場下さいましたお客様へ、心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
素晴らしいスタッフの皆様、個性的で熱い共演者様方と共に、最高の舞台を造り上げることが出来た経験を誇りに思います。作品に携わった方々、そして今回このカンパニーに呼んで下さいました芸術集団れんこんきすたの中川朝子さん・奥村千里さんにも感謝の気持ちで一杯です。
本当にありがとうございました。

完全に演者として舞台に関わることも久々なうえ、史劇作品への出演・実在の人物を演じるということは初めての体験であり、色々と不慣れな部分も多く個人的にかなり難産な芝居でしたが、その分多くのことを学び集中して役に取り組めたのではないかと思います。

朝霞が演じたヨーク公夫人セシリー・ネヴィルは、主人公リチャードの母であり、自らが禍の元凶である息子をこの世に産み出したことに苦悩する役どころ。
我が子を呪うまで苦しむというのは如何様な感覚なのか?劇中では政治や表だった事柄に一切干渉しない大人しい人物に描かれてはいたが、史実を探れば彼女も戦乱の世を生き抜いた首謀者の妻・母であり危険を冒して自ら会談に出向くことすらあった訳で、それなりに肝の据わった女性でありしたたかな部分もあったことは容易に想像出来る。
夫と同じ名を持つリチャードは実は彼女に一番似ていたのじゃないかと思う。決して表には出さない激情や闇の部分を具現化したようなリチャードに対し、母親として以上の人間としての葛藤を感じていたのじゃないか。
本当は誰よりも理解し求められてもいたことを知りながら、それを認め受け止める器を持ち合わせていなかった。自分という存在の悪を押し付けた結果にリチャードが神をも怖れぬ反逆心で惨劇を招いたことも心底では分かっていたのじゃないか。
だからこそ、彼が許せなかった。
呪いは歪んだ愛であり、嘆くほど自らを戒め苦しみが連鎖する…そういった解釈で演じさせて頂きました。
家族同士であっても心のすれ違いが生じるというのは、現代においてもままあることだろう。時代や身分が違っただけで、こうも大規模な悲劇を産んでしまっただけなのだ。
劇中にはリチャード・エドワード・ジョージの三人しか登場しないが、実際セシリーには夭折した者も含め13人の子供が居り、此方も語られないながらバッキンガム公・リチャードの妃アンも遠い血縁にあたる人物。自分の血族達が凄惨な悲劇を繰り広げる様を、彼女は心が抉られる想いで眺めなければならなかったのだろう。
わたしならば耐えられない。キリスト教徒としての信心がなければ、とっくに自らの命を絶っていたかもしれない。
稽古の段階から毎日毎日、本当に苦しくて救いの無い日々を過ごしていた(苦笑)

とはいえリチャード三世を演じた濱野和貴さんのパワーが本当に素晴らしく、苦しみながらも思い切り呪うことが出来た。
リチャードの狂気を孕んだ熱が亡者達の憎悪を煽り、その力を受けてまた更なる闇へと堕ちて逝く。
感情の相乗、生きた演劇を肌で感じられる密度の濃い舞台に仕上がったのじゃないだろうか。

セシリーは原作では然程出番の多い役ではなかったのだが、元々原作を読んだ時から大好きだった役であり演じた女優さん個人も密かにファンだったマーガレット前王妃(木村美佐さん)との熟女バトルな場面なんかも増やして頂き、これがまた楽しかった(笑)
もうね、小屋入り以降わたし涙腺が崩壊してまして、回を追う毎に号泣しまくって感情のコントロールが利かない状態に陥っていたのだけどね…そいつをまた楽しそうに苛め倒してくれる訳。堪んないよねぇ(特殊な趣味ではないよ?)。
マーガレット前王妃とセシリーは共に薔薇戦争の首謀者の妻でありながら、全く相反する人生を生きた女性。思想も辿った運命もまるで違う。
原作ではほんの僅かしか顔を合わせないが、実際に二人は面識もあり互いを恨み意識をしてきた。そこの対比をフューチャーしてきた脚本・奥村さんのセンスがまた憎いんだな(笑)

これまで客席で観て来たれんこんきすたの舞台に立たせて頂き、密かに憧れていた役者さん達と共演させて頂いた「リチャード三世」は、間違いなくわたしの短い演劇人生のなかで誇るべき一本となった。
ここ数年、芝居というものへの接し方が変わり、また新たな楽しみを見出だしていた。そんな今にこそ出逢えて良かった作品だと思っています。
感謝、という言葉ではあまりに稚拙な気もしますが…何度も絶望し死に逝くリチャードを劇場に遺して先に進んで行こうと思います。
この公演で得た沢山の挑戦と経験を糧に。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

今日はセシリーの誕生日です。
本番中の朝霞の化け具合は過程を写真に収めたので次の記事で紹介することに致しましょう(微笑)


…リチャード三世に、安らかな絶望を。


◆公演写真はれんこんきすたのblogにちらっと掲載されています◆
個人で何処まで載せて良いものやら分からなかったので…気になる方は此方をチェック!

朝霞の次回出演舞台「アルカディアの夏」に関する最新情報は【三日月バビロンblog】にてチェックして下さい。


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alf_maria_lully at 01:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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