December 2015

December 31, 2015

2015

今年の活動は濃かった。これまで年間1〜2本舞台出演すれば充分といったところが、2015年は舞台6本+映画1本というボリューム。
年末によせて、ひとつひとつ振り返ってみた。


「poiche -純白い睡り-」2月
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構想だけなら4年近くか、やっと完成に至ったトリコロール最終章が久々の新作公演となった。
好きなものを詰め込み、我儘を言いまくる芝居の気楽さよ…瑞々しい感性を保って書くこと、わたし視点だけどノスタルジーを感じるものにしたいと作ってみました。ヴィジュアル面もかなり美しかった。
珍しくほっこり前向きな気分になれる芝居を目指してみたのは、人間的に丸くなったのかもなぁとしみじみ思った。
演者としては…朝霞史上稀にみる、絵に書いたようなヘタレ青年・タクソス君。伝説の蝶の精霊と亡き父による未完の戯曲を巡り、軟弱青年が成長をみせるという、或る意味でベタ過ぎる主人公像。
いかに冴えない雰囲気を出すかで試行錯誤しつつ、格好良い朝霞さんはほぼ封印で。わたし自身はこの手のいたいけなダメ男キャラは結構得意なつもりでいるのだけど、ここまで痛快なヘタレは珍しくなかなか手こずった。
器用な筈なのに何処か惜しい、愛すべきキャラクター。
タクソス君の少年時代、神話の世界のアモールも演じていたが、此方は凛とした爽やかさと愛らしさ…が出ていたら良いな。


「The Way Home」2月
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かなり前から企画のあった、オーストラリア人監督・カールによる短編映画。スケジュールの都合上、poicheの千秋楽翌日より撮影合流した為に、頭の切り換えに苦戦。
わたしの出演場面は決まった台詞が無く、即興芝居を長回しで撮られるという最も苦手なもの。撮影クルーも多国籍故にコミュニケーションも一苦労、ロケは殆ど一発撮りだったし…凄く精神を鍛えられる現場だった。
わたしの頂いたミアという役は少々ぶっ飛んだ子なのだが、元々「ルイさんにぴったりな役だと思う」と紹介して頂いた役なので…殆ど素です。
先日編集が終わったようなので、日本で公開する際はお知らせします。


「リチャード三世」4月
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まさかの古典史劇。重ねて以前から観ていたれんこんきすたさんの公演に出して頂くということで震え上がりながら臨む。
袖が無くキャスト全員が2時間晒されっぱなしという緊張し通しの舞台。昔観た安寿ミラさんのハムレットを思い出した。シェイクスピアの戯曲は往々にしてこの手の解釈が嵌まり易いのかも。
遊び心のある演出が為されていたにも関わらず、わたしの演じたヨーク公夫人セシリーはひたすら嘆き倒している役だったので、誰にも絡めずちょっと寂しい気分を味わっていた。老いるってこういう感覚なのかな(70歳)
とにかく重苦しい芝居のなかでも、更に笑える要素皆無の役。息子達は殺し合うし、敵の妃にも嫁にも辛く当たられ、救いの筈の孫まで奪われ…散々な役で稽古から悲しくて仕方なかった。苛められ芸のスキルが急上昇。
忠実な年齢設定よりもキャラクター重視でいこうとしていた筈が、周りがお婆ちゃん扱いしてくれるのでどんどん老けた(笑)


「アルカディアの夏」5月
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久々に三日月バビロンに演者として関わる。2010年の初演時からキャストが変わり新鮮な気分で臨む。
衣装さん、舞台裏方としても地味に動く。わたし今回の衣装はなかなか満足している。
二度目のシーバ君は浮遊感や軽さのある雰囲気を心掛けてみた。前回よりも細かいことが色々見えてきたぶん、逆に舞台上では多く出し過ぎない方が美しいかなと。
物語の本筋にはほぼ絡まないくせに美味しい役だが、故に求められているものに対して程好いと思われる存在感は凄く意識した。
初演時に感じたことも活かしつつ、より深みのあるものを見せられていたら良いなと思う。


「薔薇物語」10月
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舞踏会イベントBal d'Apollonにて、急遽上演する運びとなった中世フランス寓意物語の戯曲化。如何せん原作が膨大でまず苦戦。
朝霞がメインで演じた“わたし”という役は原作(下巻)ではジャン・ド・マン、つまりこの話の作者たる詩人。
古典の登場人物は感情の揺れ幅が物凄いので、短編芝居でも割とぐったりきた。台詞量も動きもかなり多かった訳だが…
セットが作れないことを逆手に取って、紗布を用いた演出を多様。全編生演奏での音響も雰囲気があって良かったのではないかな?
サーベル振り回す躍動的な朝霞さんは、舞台ではまず見れないだろう…


「櫟の館」12月
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とても気に入っている作品だけど、とにかく開き直って自分が格好良いと思い込まないと出来なかった(苦笑)
ダトル伯爵は台詞の大半が妄想と口説き文句という凄まじいナルシストでもある。
芝居における自信とはったりの重要性を再認識。


「trill -トリル-」12月
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今年二人目の自縛霊キャラ・トリルビー。
相手や場面によって目まぐるしく雰囲気が変わるので、意外と忙しくキャラクターを統一させるに苦戦。
喋らない場面が多く、どちらかというと妖精じみた雰囲気だったので、やはり独特の浮遊感のようなものは意識して動きに取り入れてみた。軽やかに動いていたつもりです、あれでも。


何か色々やったな…
どれも思い入れの深い役ばかりです。

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今年は、本当に人前に立たせて頂く機会が多く、また様々な経験や新しい出逢いを得ることが出来た充実の一年でした。
成せば成る、は成してみないと言えないことで、これだけの本数をこなした体力・精神力共に自信となりました。意外と、まだまだ自分いけるなと(笑)
気は廻るもので、使ったぶんだけしっかり還ってくるのだと思う。一緒に舞台をつくってくださった共演者様・スタッフ様、何より会場にお運び頂き朝霞ルイを観てくださった沢山のお客様からパワーを頂けた幸せな時間を噛み締めることが出来ましたことを心より感謝しております。
この熱を、勢いを留めることなく2016年に引き継いで行きたいと思います。
本当にありがとうございました。来年もどうぞ宜しくお願い致します。

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December 25, 2015

公演後記「trill -トリル-」

前半は執筆にあたって、ある種の偏ったマニアと化したわたしが延々語りたいだけの戯言。頑張って端折ったつもりだけど結局長い、殆ど脱線ネタによるレポート。
芝居自体の話は終わりのほうにちょっとだけあります。


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元ネタは散々あった筈なのに、微妙な設定と名称だけが残ってごった煮状態で出来た芝居…書いている側が段々マニアなネタを見つけては投入するを繰り返した結果、原案は何処かへ行ってしまったけど纏まった。

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実は、当初はオルガンではなくヴァイオリンの話にする予定だった。タルティーニの「悪魔のトリル」で芝居を書きたかった訳。

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で、語感でトリルビー(安直)。これはわたしの好きなノディエの小説「トリルビー」に出てくるスコットランド・アーガイル地方の妖精。本当は“愛らしい巻き毛のエルフ”とか呼ばれる美少年で、ジャニーという女船頭(人妻)に恋して偉いお坊さんに“聖者の樹”に封印されてしまう話。朝霞が演じていた爺さんトリルビーとはだいぶ違うのだが、珍しく愉快な奴という点では頑張ったつもり。
因みに作中で度々出てくるトリーが呪いを掛けられたという“聖コロンバン殉教日(11/23)”は小説では大々的な徹夜祈祷会が開かれる夜で、ジャニーがグレンファラクの礼拝堂でトリルビーの肖像画を見て正体を知ってしまう日。
ジョン・トリルビー・マック=ファーレンという名前も小説にあった設定。


「Les Miroirsで今まで有りそうで無かったベタな設定」を求めたら教会に行き着いたので結局オルガンにした。
オルガンの仕組みを調べていたら凝り始める…しかし「悪魔のトリル」は雰囲気には合わないので(寧ろあれをオルガンで演奏するのは無茶だと思った)、イギリスに帰化したヘンデルの曲で全編統一。オルガン曲が少なかったのでオペラの曲を使うことにしたけれど、昔のスコットランド国教会でオペラなんか演奏して良いのか?と素朴な疑問に当たり、近代の話にしてみた。

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普通に考えたら馴染みの無い人にはそもそもパイプオルガンがどんな仕組みで鳴っているか、カルカント(ふいご師)の存在も知らない人が殆どだと思ったので、かなりしつこく台詞に入れる羽目になる。
現代では風を送るのは電気なので、ふいごを踏む専門家が必要なのは余程旧式のものか、明治学院のオルガンみたいに敢えて古い造りに拘っているものだけです。
鍵盤の横にいくつも付いたストップと呼ばれる取っ手を選んで引き、風の入るパイプを選ぶことで何十種類もの音色が出せる訳。メアリーが最初に使っていたunda maris(アンダ・メリス)というストップは海の波という意味で、そうそう付いてるものでも無いらしいのだけど、それを見つけてつい嬉しくなって故郷のファイン湖(湾)を想いながらトリーも一緒に「アラ・ホーンパイプ(水上の音楽)」を弾いちゃうくだりとか、二人のマニア魂の共鳴を感じる大好きな出逢いの場面だったりするのだよね(笑)

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オルガン曲でないものばかりを使用したり、芝居仕様の演奏指示もあったので、劇中で使った曲は殆ど実際にこの芝居の為に演奏して貰ったものを流していた。
東京大学のオルガン愛好会の方に協力して頂きました。劇中でも見習いであるメアリーが演奏している楽曲は、本物の学生の方に弾いてもらったほうが自然と瑞々しい雰囲気になっていてとても合っていたのじゃないかと思う。失礼な言い方になってしまうかもしれないけれど、プロの奏者のように整い過ぎていない素朴な感じが逆に良かった。
実際に結構な短期間で曲を練習して貰った点も芝居の内容と合う。いや、ご迷惑お掛けしましたが…


主な使用曲について少し。
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「Alla Hornpipe (アラ・ホーンパイプ)」
前述の通り絶妙な使い方が出来て満足。かの有名な「水上の音楽」の中のトランペット主体の曲。
ハノーファー選帝侯(ジョージ一世)の命令に背いてロンドンに定住したヘンデルが和解の印にと王主催の舟遊びの際に演奏されたと云われている。
奏者の方はこれが一番難しかったようで何度も録り直した(実は最初難しいと断られたのをわたしがゴリ押しして結局弾いてもらった)けれど、お陰でイメージ通りの音源が出来た。

「Sarabande (サラバンド)」
ハープシーコード組曲集に収録。ウェールズ公の姫に家庭教師をしていたヘンデルが書いた練習曲。
シンプルだけど耳に残る、元が鍵盤の練習曲なせいかさほど難しそうじゃない(主観)からメアリーが演奏会で弾く曲に選ぶ。違う音で何種類か演奏して貰っていました。
「バリー・リンドン」や「風の谷のナウシカ」にもアレンジ版が使われているので、メロディを知っていた方は多かったのではないかな。

「Lascia ch'io pianga (泣かせてください)」
作中で重要な役割を果たすこの曲は、オペラ「リナルド」でアルミレーナ姫が歌う有名過ぎるアリア。
本田美奈子さんの歌う日本語版の歌詞も同様だが、直訳でも結構自棄になっている内容だったりする。
昨年はイベント公演で「Cara sposa」(リナルドが歌うほうのアリア)を歌い、これまでうっかり原語で歌う羽目になるとは思わなかった(泣)
どうでも良いけど「カストラート」でカルロがこれ歌う回想場面は何回観ても泣ける。
散々ヘンデルの曲ばかり使ったけれど、やっぱり「カストラート」が好き過ぎてどうも偏屈な爺さんのイメージが拭えない。実際変わり者だったみたいだけど。

ちょっとした心残りを云うなら、せっかくクリスマスに向けた話だったのだから「メサイア」も使いたかった。でもいきなり意気揚々とハレルヤコーラスされたらお客様が吹き出しそうだから却下。
実際全曲を芝居を追って演奏してたら程好いだろうと思われるポイントで“ハレルヤ(中盤頃)”“アーメン(最後)”と台詞に入れたのはわざとです。


宗教・歴史についても調べ始めたら楽しくなってしまって…小ネタをばんばん詰めてしまった。
その小ネタからきちんと設定になったのはタータン・チェックの話とグレンコーの虐殺事件。

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スコットランドの氏族が身に付けるタータンは、平たく言えば家紋のようなもので家によって柄が違います。劇中で「キャンベル公爵家のタータン!」と言われる緑×黒の肩掛けは、本当にキャンベルというスコットランドの大氏族が使っているブラックウォッチという柄に似ているものを選びました。
(細かく言うと日本で例える家紋と違い、タータンは分家毎に柄を分けたりTPOに合わせて違うものを用いたりと複雑。ブラックウォッチは実際には氏族clanを表すクラン・タータンではなく軍隊用と言われるレジメンタル・タータンで、現在のスコットランド王室連隊の名称でありシンボル。これはカロデンの戦いにおいてタータンそのものの使用が禁じられた際も、政府側についていたキャンベル氏族のみが例外的にタータンの着用を許されていた為にそのまま残っている。メアリーはインヴァレリーのアーガイル公令嬢なので、本来ならばアーガイル公キャンベルのタータンといえば、その名の通りアーガイル・チェックと呼ばれるダイヤ柄のもの。だがこれは日本では女子高生ファッションにも見えなくないせいかいくら探せどもパステルカラーばかりしか出会えなかったので諦めた。)
そもそもメアリーという名前も、当初はメアリー・スチュアート王女のイメージから付けただけなのだけど、実際にアーガイル公キャンベル家の家系図を調べたら、ほぼドンピシャな年代にメアリー・エマという聖職者と結婚したお嬢さんが居たのよ。調べてみるもんだね。

グレンコーの虐殺については、キャンベル家を調べる過程で見つけた話。キャンベル家は連合国になる前からイングランド側だった氏族で、イングランドの無茶な命令で期日に調印出来なかったマクドナルド氏族の村・グレンコー(嘆きの峡谷)を焼き討ちにしたせいで、以降マクドナルドが収める各地で長年爪弾き状態にされたそうだ。キャンベル家を恨むような民謡まで実際あるので、相当なものだったのでしょう。

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物語は11/23の聖コロンバン殉教日から11/30のセント・アンドリュー・デイ(スコットランドの守護聖人アンデレの祝日)までの話だが、実はこれにも問題が生じて…年によっては殆ど待降節に入ってしまうのよね、いくらジェニー先生がくだけた性格でも礼拝堂で楽しく演奏会はやらないかなと。牧師様のローブも色変えないといけなくなるし。
なので、19世紀後半のカレンダーを全部調べて、11/30が待降節に入らない年を探して設定してあります。
キリスト教の教えの内容よりも宗教改革の流れに惹かれたので(単に革命好き)、知識が相当偏っている…
せっかくなのでアンデレさん絡みのお説教でも聴けるかと思って、その近辺の時期を狙って近所のプロテスタント系の礼拝にも行ってみたけれど、そもそも聖人自体を重視していないのか全く出てこなかった。
自分の持っている聖書っぽいものは、ドレの挿絵に惹かれて買った「新約聖書」だけなのでとりあえず読み直したけれど、アンデレさん謙虚で好感持てるよな。聖書の話ではないけど、スコットランドの国旗にもなっているアンデレ十字で磔刑になった話とか凄い。イエス様と同じ十字架に掛かって死ぬなんて勿体無いから斜め十字にして下さい的なことを頼んだらしい。絵画で見る限りでは上を向いているけれど、実際には招燭僚住架は頭を下にして掛けられるという説もある。ご老体でそんな殉教の仕方は壮絶過ぎる。どこまで良い人なんだろう。
そんなアンデレさんに関する創作説教を、本当は長々とジェニー先生に語らせる予定で脚本にも書いたけれど尺の都合でカットした…

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完全に自分のせいなのだけど、膨大な設定を三人の演者で纏めるのはなかなか骨が折れた。
とはいえ、なんとかかたちにしてくれたキャスト陣(自分に至っては致し方ない)には感謝しています。

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まず、今回約3年振りに舞台復帰してくれたメアリー役・夢月姫さん。
休んでいた期間のせいで、慣れるのも本当に大変だったと思うし実際わたしも基礎稽古では散々うるさいことを言ったけれど(苦笑)、意識や精神的な面での成長を感じたように思います。
うちでは貴重な正統派美少女キャラなのだけど、持って生まれた華に頼り過ぎずに芯を持ってこなしている感じがこれまで以上にはっきり見えたかなと。これまでの芝居のなかで一番好きかも。
元々、可愛らしく見えて意外なところで気の強さが見えたり思い切りの良い人なんだが(笑)女優にはそういう性質大切だなとしみじみ思わされました。
勿論当て書きなのでメアリーも夢月姫さんを意識しまくって書いている訳だが、この人が本当に凄いと感じるところは“本を書かせる女優”という点。今回もメアリーの台詞は割とすらすら書けた。これは付き合いが長いからという訳じゃなくずっと以前から不思議とそう。
すらすら書き過ぎたせいでたっぷり喋らせましたが…本当に出ずっぱりだったよね、喋れない設定にしちゃったトリーのせいで独りで会話させたうえに首絞められたりして散々な目に遭わせたけども(苦笑)抜群の安定感と可憐さで無茶振りの数々をこなしてくれたと思います。

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今年はわたしと共に何かと大忙しだったジェニー役・乃々雅ゆうちゃん。
本人が今年の総まとめになるような芝居を!と初っ端から意気込んでいまして、ならばと魅力を活かせそうな役を書いてみた。高圧的な雰囲気の役が続いたので、愉快なお姉さん。いや、普段のゆうちゃんは相当愉快な子なのだけど(笑)
堅さが抜けて、良い空気を掴めたのじゃないかと思う。沢山悩んだのだと思うけれど、ぐんと芝居の幅が拡がったのじゃないかな。
ジェニーとトリーの掛け合いの場面は、わたしもこれまであまり書いたことの無い雰囲気でかなり遊びのある感じだったけれど、実際やってみたら結構楽しかった。
ジェニー先生は本当に包容力があって素敵な女性なのだけど、絶妙に抜けていて可愛げがある(トリー目線)感じは巧い具合にゆうちゃんの良さが出たと思う。
「poiche」の時も思ったのだけど、この人に書く役の構成だとか台詞が作家のラヴレターじみていて自分で書きながら自分が気色悪く思えるときがある…(苦笑)
一作毎に成長が見える楽しみな役者です、今後も期待しつつ。

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で、朝霞ルイ。については特別語ることも無いのでトリーについて。
己の哲学を極めている割に別なことに著しく無頓着なところが、いかにも芸術家らしくて好きだな。
多くを語らないぶん、言葉ひとつひとつの真実を丁寧に表現したつもりです。
巻き毛のエルフには程遠く、頑固爺さん呼ばわりをされるようなトリーだけど、音楽を通じて仲間と見定めた人に対しては理屈抜きでとことん優しい熱い奴なんだと思います。微妙に素直じゃない点は、単に照れているのだと思うと微笑ましい(笑)
ジェニー、メアリーと可愛い弟子達に囲まれて、トリー爺さんは幸せだったのだと思うよ。勇敢なるハイランダーの末裔なので、気丈に行きましたけども。

ちなみに、このカルカントは舞台の見映え上の都合、腰掛けた状態で軽やかに脚上げしてふいごを踏む。オルガンの話に戻りそうだけど、実際のカルカントはオルガンの裏などに居て黙々とふいごに全体重を掛けるものです…踊れたら踊ってますけど墓穴なのでやめときました(苦笑)
劇中で少し触れた、楽譜の読める囚人がカルカントを務めていた時代というのも実際にはあったようです。

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膨大な設定を詰め込みまくって完成した「trill」、短編に有るまじきボリューム。
意外と触れる機会の無かった知識をたくさん吸収出来たことは本当に楽しかった。今作の為にわたしの予習も兼ねてキャスト陣に配った基礎知識お勉強テキスト(スコットランドの歴史・地理・国教会、オルガンについて、ヘンデルについてetc)は、みっしり10頁ほどに及びました…いや、ほんとお疲れ様です皆。
わたしはスコッチなぞ飲みながら、ヘンデル聴いちゃって、毎晩googleアースでアーガイル旅行をしつつ、完全に趣味に走って愉しく書いていたけれど、脱稿もかなり遅かった上にこの膨大な裏設定や小ネタを押し付けられ…キャスト陣はさぞげんなりしたことだろう(苦笑)
とはいえ、いくら知識を詰めたところで感情という熱で作品に昇華してくれるのは芝居にとっては実際に板に乗る演者です。短い稽古期間のなか、こなさなければいけない課題が沢山あったけれども、最終的にしっかりと作者の意図を汲んでお客様に届けてくれたことは本当に感謝しています。
劇団員のみでの公演自体が、もしかしたらこの先無いかもしれない。今この時、このメンバーだからこそ書けた・上演出来た作品だと自信を持って言えるもの。またLes Miroirsの世界観を語るに相応しく、各々が新たな自分と向き合いながら精一杯仕上げてくれた作品になれたと思います。
わたしの本当に個人的な感想だけど、このメンバーと劇団が本当に好きだと改めて思えました。

イベント全体を通してお世話になったスタッフの皆様のお力添え、何よりご観劇くださったお客様との出逢いや共鳴のなかで、良い状態に熟した演者達を更に輝かせて貰うことが出来ました。
この公演で得たものを各々が真摯に受け留め、来年に控える10周年公演、更にその先の活動への礎にしていけるようわたしも気を引き締めて今後の活動に臨みたく思います。

正直なところ、こうも心が高揚するとすぐにでもまた劇場の板の上に舞い戻り、お客様と向き合う刹那を求めて止まない衝動が起こってしまうのですが…今は大切に、また劇場で出逢える皆様への贈り物を着実に育む時間に充てるべきかと思うので、来年6月まで地に足を付け、もしかすると更に潜り込んでの充電の時期にしようと思っております。
夏の足音が聴こえる頃にまたTheater SHINEにて、成長した劇団員メンバー・素敵な客演メンバーで紡ぐ記念すべき舞台をお届けしたく思います。どうぞお楽しみに、今後とも幻想芸術集団Les Miroirsをよろしくお願い致します。

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《幻想芸術集団 Les Miroirs》

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December 24, 2015

公演後記「櫟の館」

pays de MIROIR vol.2にて、日替り公演として上演した「櫟の館」について。のマニアックな話多めの振り返り記事。
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昨年、birthday企画として一人芝居×フラメンコギター演奏というかたちでBAR公演をさせて頂いた作品。
珍しくわたし個人主体のイベントだったので、劇団では出来ないような色気のある危うい芝居をしたいなと(微笑)
まさかこんなに早々に再演するとは思わなかったけれど…

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「櫟の館」、タクソスだのヨーク家だの今年何かと縁のあるイチイは、日本では高貴な印象もあるけれど西洋では墓場の周りによく植えられているのだそうだ。
それを知るとあの赤い実の可愛らしさもなんだか禍々しい雰囲気に思えて素敵だなと、わたしのイメージだけで付けてみました。原作には何の記述もありません。

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元はヴィリエ・ド・リラダンの「ヴェラ」という短編小説。偶然見つけた幻想小説・怪奇小説を集めた短編集の中のものを読んで気に入ったのだった。
狂気の物語を、過剰なほどの美しい言葉で、あくまでも冷静に淡々と語る点は秀逸で、勢いでさらりと読めてしまうのだが、読み終えたあとの後味の悪さったら…酷いもの(苦笑)

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プロローグから題にもなっている伯爵夫人・ヴェラが死んでしまっていて、言ってしまえばほぼ結末が予測出来そうな雰囲気がありありと出てしまっているにも関わらず、知らぬ間に世界観に引き込まれて読まされてしまうのだ。
読者にこれほどの恍惚と好奇心を与えておきながら、ばっさり切り捨てるようなあの慈悲の無い終わり方。
あぁ、こういう意地悪な作品、いつか芝居にしてやりたいなと思いましたよ(笑)
映画でも小説でも、こういういかにもヨーロッパな不親切さ(失礼)のあるものって割と好きなのだよね。

ただ、脚本におこす時点で苦戦したのは、字面の美しさとそれを“音”として聴く心地好さは別物であるというところ。気に入っていた描写は極力そのまま使いたかったのだが、如何せん古い日本語訳を読んだせいもあり耳慣れない言葉がとても多かったのだ。
その辺りのバランスを巧く取っていく作業には神経を使った。
芝居向けに観易い構成にする為、朗読の場面や開き直って己の愛の持論を展開し始めちゃうところ、庭園でワインを飲みながら寛ぐ場面など、わたしの創作で追加した。
今回、劇場上演用に多少の改訂は加えたけれど、台詞は殆どそのまま。フラメンコギターに合わせて舞台をセヴィリアにしていたものを、原作と同じブローニュの森近くの屋敷に戻したくらい。

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奏者の佐藤まどかさんには、屋敷の女中長・ルネという役がふられており、これはBAR公演の際も同様に奏者の方に執事長の役を兼任して頂いていた。
原作でも屋敷に一人だけ残される使用人が居るのだけど、物語はその使用人の視点から亡き妻の幻想を見るダトル伯爵(原作ではダトール)の為にさも故人が変わりなくそこに居るように芝居をしてやるうちに自らも狂気に飲まれ葛藤する様を描いているように読める。
台詞は一切無いけれど、実はこの作品の真の主人公とも呼べる立ち位置なのだ。
当初はフルートのみだった筈が、あの素敵なスピネット・チェンバロもご本人の提案で使って頂くことに。
劇中で演奏されていた曲も、全てわたしがシーン毎に雰囲気を伝えたのみでレパートリーの中から出して貰いました。これまたイメージにぴったりなものを持って来て下さる訳ですよ。
素敵な演奏の数々に重ね、立ち居振る舞いでも華を添えて頂いた訳だけど、今回凄いシンクロを感じた出来事があって…
ヴェラが一人で踊っている時に演奏されていたグルックの「精霊の踊り」、実はわたしも好きでこの芝居に合っているなと漠然と感じていて、改定作業の時にもずっとCDを流していたりしたのだけど。得意な曲をやって貰う方が良いだろうと遠慮して特にリクエストはしなかったのね。
なのに稽古場で「こういう曲どうですか?」といきなり演奏してくれて、見透かされたようでちょっと焦った(笑)あぁ、センスが近かったのかと。

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BAR公演の際と一番大きく印象が変わった点は、やはり神剣れいさん演じる実体のあるヴェラが存在していたところ。
此方も朗読の場面以外は台詞らしいものは無いけれど、その場に居るだけで空気に変化を起こす難役。わたしの台詞に合わせて舞って貰う場面もあったけれど、実は演出らしい演出はほぼついていません。巧く纏めて頂いたのだけど、センスにお任せしてやって貰ったかたちです。
なんだかんだとわたしまで一緒に踊ることになり、振り付け丸投げしちゃったのですが、わたし相変わらず表情しか踊っていないので(苦笑)付け合せの野菜くらいに思って貰えていればなと…
10月に「薔薇物語」でご一緒させて頂いたときにも改めて思ったけれど、この方は登場した瞬間に「あ、ヒロインが出た。」と疑いなく思わせるような説得力が凄い(笑)
庭園で蝶を追ったりする場面ではとても可憐なのだけど、亡霊モードに入っている時のなんとも怖ろしく美しい雰囲気も結構好きです。じめじめした怖さではなく、凛とした恐怖を感じるのはヴェラという役に求めていた部分でもあるので。
加虐性が魅力の人外乙女って、わたしの大好きなメロエやクラリモンドの系譜よね。死霊(リヴィング・デッド)、魔女、妖怪の類いは怪奇な存在という物語のセオリーを崩した優美で哀しい印象付け、それをファム・ファタルに結び付けたという点で「ヴェラ」は革新的じゃないかと。少なくともゴーチェはリラダンの影響を受けたと思う。リラダン自体が「未来のイヴ」でもピュグマリオン幻想を抱いている感がみてとれる。ノディエは作中でもアプレイウスの名を語ってあの作品を書いているうえ、年代的にも先だけどね。
冒頭の霊廟の場面、ゲネからずっと観てくれていた髑髏海月さんが「あんなに綺麗な死体見たこと無い!」と絶賛して居られました。墓守お墨付きの死体です(笑)
ご本人が徹夜で作った白いレースのドレスもとても素敵でした。

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そして、わたし。殆ど一人で喋り通しな伯爵だった訳だけど、危険だったのは誤るよりもふと憑かれるような感覚に陥る台詞・役だったこと。
BAR公演の時は、暑苦しいくらい濃くいこうとしていたのね。跳ね回る小娘のようなヴェラを手なずける熱いラテン系(笑/スペインの安易なイメージ…)な設定だったので。本番とかもう、ギター奏者さんとお互い煽り合う一騎打ち状態になりかけていたのだけど…今回は楽器もフルートとスピネットだし、お転婆なヴェラではないし、フランスに戻ってきたし、完全に一人芝居ではないので、バランスは考慮しました。
とはいえ、詩的な言葉の数々、フルートの生演奏と美しい妻が居る訳で、つい気持ち良く吹っ飛びそうな鬼門があるのよ。しかし、意外と一番冷静でいなければならない立ち位置だったのだと思う。わたし普段は割と客席がしっかり視界に入る方なのだけどね、久々に森を見たな…
情緒不安定に見えても、その実このダトル伯爵は全く狂気というものに持って行かれていない。足取りがしっかりしていて迷いが無いのだ。
役者冥利に尽きるような役だったけれど、なかなか精神にきた。
ヴェラ然り、この夫婦の怖いところは物凄く我が強いところじゃないかと。「真実」を創造してしまうほどの信念があるという点。
本来は共鳴しなさそうな性質の二人が惹かれ合ってしまったことが、このなんとも幸福な悲劇の始まりだったのだろう。

そうそう、続けて「trill」にも出演していたので区別する為に…
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珍しく長髪でした。
って、一番長髪感出ていた写真がこれだったので載せるけど、れいさんファンに呪われないと良いな…
因みに小道具で着けていた指環は夫婦ペアだったのだけど、れいさんが指細過ぎて同じデザインのもの探すのが大変だった。


今回再び、劇場という空間でこの演目を上演出来たこと。役者・踊り手・演奏者と各キャストが明確な役割を持って意見や技術を出し合いひとつの作品を仕上げる過程は、良い刺激と安心感があり、本当に凄く勉強になったと思う。
この作品は、Les Miroirsとは切り離したところから派生したもの。
劇団として作品づくりをするのではなく、朝霞ルイ個人として様々な挑戦をさせて頂けた貴重な機会です。
日替わり公演ではありましたがご覧頂きましたお客様、ご協力・お付き合い下さった、スタッフ様方、神剣れいさん、佐藤まどかさん、心から感謝しております。ありがとうございました。


《「trill -トリル- 」編へ続く》

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December 22, 2015

公演後記(楽日)

公演後記、楽日編。
とはいえ2日公演には初日と楽日しかない訳で(笑)…あっという間に終わってしまったよね…
でも相変わらずこの記事も長いよ。


スタッフさんの入り時間に合わせて起床。イベント2日目もなかなかの過密スケジュール…起きた瞬間から作業ぶっ通し。
続々と到着するキャスト達を迎えつつ、さっさとメイクを済ませて舞台面で開場直前まで発声&ストレッチ。朝食用に買った筈のデニッシュをちょっとずつつまみながら結局夜まで食べきれず。
マチネ12時開演とか恐ろしい時間の無さ。気付いたら舞台に出ていた感じよ、本当に。

6日のプログラムは、
「櫟の館」→髑髏海月→Rinnri.→「trill」

朝霞にとっては、魔の4ステ公演日。
絶好調に沸いた脳で、一本目の「櫟の館」ではいきなりきっかけ台詞を飛ばしました(懺悔)
舞台で、お客様の前で、演じてみてこの芝居の怖さが身に沁みるようだった。酔い過ぎそうになる、快楽との闘い。いや、言い訳する訳では…
ただ、この回は全演目を通して不思議な気が流れていたように感じた。
で、そんな危険な芝居を終えて休む間もなく黒装束に着替えての大掛かりな転換は冷や冷やモノ。あんなに震えが止まらないなかで繊細な楽器を運ぶなんて泣きたくなる。焦って仮面着けたら顔に貼り付いて呼吸出来なくなるし(苦笑)、窒息しかけて更に震えた…
細心の注意を払い、無事に転換を終えて楽屋へ帰り着いたあとは数分間の廃人タイムを持たなければ動けなかった。

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マチネ公演を終え、写真撮影の時間を兼ねた休憩を取る。

「trill」の為に髪を紅く染めていたカラーチョークを落とし、ウィッグを着け直して「櫟の館」仕様に。衣装から衣装へ…落ち着く間が無い。

そうこうしている間にソワレが開場。
開場時間と他の演者さんのステージ時間が休憩よりも気分が落ち着く時間な気がする。ずっと各部署に詰め込まれっぱなしのスタッフさん達にはそんな息抜きタイムすら無かったので、申し訳無いが…
楽屋のモニターでやっと少し余裕を持って他のステージを観たりする。
海月ちゃんやRe;kaiさんの綺麗な歌声が天井から降ってくる楽屋で優雅にストレッチをする時間など、贅沢だなと思いつつ。このイベント、客席で普通に観たかったと甚だ無理な妄想をしたりする(笑)わたし以外のキャストさんは二階席で他のステージも観れたのだけどね、わたしは流石に間に合わないので諦めた…
でも、しっかりパワーは受け継ぎながら自分も舞台に立てたのじゃないかと思っています。有り難い限り。

折角なので(?)、今回出演して頂いたミュージシャンのお二人について。

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海月ちゃんは、元々わたしがファンでLIVEに通っていて、今回のイベントに絶対に呼びたいとかなり早い段階から出演を決めて頂いていました。
鋭利なくらいの繊細な感覚が伝わってくるような、透明感溢れる歌声の持ち主。ただ前向きなだけの優しさや癒しではなく、痛みを受け止めた先に有る深みある静かな温かさを感じる。
海月ちゃんが自分の歌を“鎮魂歌”と呼ぶのは、実際に同じ空間のなかでその声を聴くと成る程と感じる筈。本当に、生ける者の魂を鎮める歌、なのね。
ヴィジュアル的にはダークで妖しい雰囲気だけど、とにかくピュアな人柄がステージに溢れている方です。
絶妙な抜け具合のMCもまたギャップ萌え(笑)
わたしの無茶振りもあり…今回3ステ全て異なるセットリストで公演して頂きました。

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Re;kaiさん(Rinnri.)は、うちの劇団の乃々雅さんが以前公演のお手伝いで関わっていたりした繋がりで紹介して貰った訳。
普段は女優さんと二人組のユニットととして活動されていたところ、今回はRe;kaiさん一人で歌と朗読を織り混ぜた演目を用意して頂きました。
本当に可愛らしくてほんわりした雰囲気の方で、ステージでの力強い存在感は一体どこに秘めているのかと驚かされる…
伸びやかで心地好い歌声と、対極的な淡々とした語り口のバランスで紡ぐ世界は、音しか存在しないが故の映像的な想像力を刺激するような奥行きを感じる。
言葉・音のパワーが詰まったステージ。

そんな素敵な音を浴びながら楽屋に居た訳ですよ。
ゲネで見れただけでも良かったと思うべきかな…

ソワレも無事に終え、余韻に浸る間も無く舞台をばらして撤収→打ち上げの毎度の流れ。
神経が張り過ぎて暫く終わった実感も無かったが。
本当に、沢山の方々のお力添えあってなんとか纏めることの出来たイベントでした。各々、慣れない作業をお願いしたなかで最大限の力を出して臨んでもらい形になったものかなと思う。
終わって振り返ってみて、自分は本当にばんばん無茶な指示をするのみで実際大したこともしていなかったので(苦笑)総ては素晴らしい出演者の皆様と敏腕スタッフチームの努力の賜物だなと心底感じます。
まだまだ試行錯誤が必要なイベントだけど、次回、またその次と着実に力を付けて更に濃厚なステージをお届けしたいと思っていますので、どうぞお楽しみに!


…あ、
自分の出演していた作品の話をあまりしていないと思った?
ご心配なく、それはしっかり別記事に纏めていますよ(微笑)

まだまだ終わらない、しつこい公演後記。
《「櫟の館」編へ続く》

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December 21, 2015

公演後記(初日)

公演後記、初日編。
相変わらずただただ長い記録…


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劇場に着いた海月ちゃんの電話で起床。
短時間睡眠の割には物凄く熟睡したような感覚ですっきり目覚める。
元気過ぎて、わくわくし過ぎて、上着のポケットでアラームが鳴りまくっていたのも気付かず。悪魔のトリル(第二楽章)を撒き散らしていました。これ聴くと焦って目が冴えるんだよね、これに限らず芝居で使ったことのある曲は嫌でも起きるからアラームにちょうど良いのだけど今回はやっぱり「trill」だからね、ヴァイオリンじゃなくてオルガンだけど(笑)

そうこうしているうちに続々とキャスト・スタッフが劇場入りし始め、朝から本番直前までぶっ通しな怒涛のゲネタイム。
各演目の合間に転換の確認をしつつ。そう、あの転換時に出てくる謎の黒仮面の正体は朝霞です。
意外と此方は視界良好なのだけど、あんな動き難い格好で機材とか楽器を運ぶのは緊張した。しかし、大ホールでコンサートやっている訳じゃあるまいし、転換の度にいかにも素な裏方スタッフさんが舞台に登場するのは世界観的にナシだなと。

朝一発目にやった「櫟の館」のゲネから衣装を脱ぐ間も無いまま、髑髏海月、Rinnri.の場当たり・リハを見る。
睡眠不足気味の脳で、立て続けに癒しヴォイスを聴くなかなかの苦行…異界にトリップしそうになるのを何とか堪える。
ミュージシャンの方々にとっては、2日3ステの公演だけでも不慣れなところ芝居同様にああもしつこく場当たりさせられる現場など無いだろう。軽やかにこなしているように見えても客席にあれだけ気を放つ作業は消耗すると思う…此方のやり方に合わせて頂いてとても助かったけれど、凄く疲れさせてしまっただろうと思うのよ。

時間押しまくりながら…微妙な休憩を挟んでやっと着替え「trill」のゲネ。前日にしっかり場当たり時間を取っていたので大きな問題も無く終了。

5日のみ出演のMayuさんの場当たり・リハ。実はこの方だけわたしがwebで見付けて気に入って出演をお願いしていて、当日まで生でステージを観る機会がなかった演者さん。
ところがもう、映像で拝見した比じゃないくらい実際格好良くて、これリハしか客席で観れないのかと嘆きたくなる素敵さだった。
フライヤーに“ベリーダンス”とだけ記載したの失敗だったな…“ゴシックベリーダンス”と書くべきだった。恐らくベリーと聞いてイメージする踊りとは全く別物で、ばたばた過ぎて事前に映像を見せていなかったスタッフの方々も驚いていたけれど。曲データ聴き込んだだけでまた雰囲気ぴったりの照明を用意していたアサトさんのセンスにはもはや尊敬通り越して軽く恐怖すら覚えた(笑)
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カーテンコールの打ち合わせを手短に済ませ、ほぼ休憩なしで開場。
5日のプログラムは、
Mayu(一部)→髑髏海月→Rinnri.→Mayu(二部)→「trill」という感じ。
楽屋でメイク直し・アップをしつつ、モニターを見ながら各演目の間に舞台に上がって転換作業。マイクのセッティングに手こずりながらも何とか問題なく転換出来た。
正直あの転換の黒仮面のほうが出演している時より遥かに緊張していて、自分が演者として出る頃には瞳孔が開ききっていたのではなかろうか?(苦笑)
いっぱいいっぱい過ぎて本番中のこと殆ど覚えていない…
大事故も無く終了してくれて心底ほっとした。

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終演後は劇場でちょっとした打ち上げをし、まったり過ごす。
とはいえ皆との語らいが愉しく、またまだがっつり瞳孔開きっぱなしなわたしは結局ぴりぴりして息が付けず…その後深夜に買い物がてら劇場を抜け出して独りでしっぽりワインなど飲んでやっと少し人間らしさを取り戻した。
前日同様、シャワーを浴びてゆっくりマッサージとストレッチを済ませて就寝。


《公演楽日編へ続く》

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December 20, 2015

公演後記(最終稽古〜仕込み日)

気が向いた時のみ恒例(?)、公演後記。
小屋入り前日〜仕込み日編。
ただただ長くて脈絡無しの個人的備忘録なので、お時間ある方だけ読んでね(笑)


毎回小屋入り前日は日中に少しだけ稽古を入れるのみにしているのだけど、今回は元々あまり時間が無かった為に昼間から夜までみっちり「trill」の稽古を入れました。
実は…お恥ずかしい話で週明けに稽古で気合いを入れて熱演し過ぎたら奥歯を割ってしまってだね(苦笑)、気付かぬ振りをしようと思っていたけれどそうも出来ないくらい痛みが酷くて…最終稽古日の朝に歯を抜きました。
痛みにすこぶる弱いわたし、普段ならば精神的ダメージで超不機嫌になるところだが今回ばかりは浮き沈みする余裕も無いまま半泣きになりながら歯医者から稽古場に直行する羽目に。お陰様で夕方にはすっかり忘れるほどに痛みも消え、滑舌諸々にも全く影響無し。さっさと抜けば良かった…!
夜には舞台監督補佐・櫻木さんも登場し、バウムクーヘン食べながらきっかけ確認をしてみたり、無茶振りで音響をお願いしての通し稽古。

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とても良い集中力で流せた最後の通し稽古に満足しつつ、帰路。

城で翌日の劇場入りに備えて荷造りをしつつ、音響・開場用のCDを焼く。
…が、焦っている時に限ってPCさんがプチストを起こし、買っておいたCD-Rが全てふいになって夜中に追加を仕入れに出掛けたりする。
そして、PCを立ち上げると途端にあれこれ仕事を思い付く悪い癖。劇場に掲示する諸々を作り始めてしまったり、うっかり火がついて小道具の手紙をフォトショで作り始めてしまう。何故もっと早くやらぬのだ(苦笑)
エリザベス(メアリーちゃんの曾祖母さん)の手紙・音楽院からの紹介状を作ってみたのだ。まっさらな紙でいく予定だったのだけど、意外とお客様に見えちゃうんだもん。ぱぱっと作ったものだけど、音楽院の名前(セント・シシーリア)に因んで聖セシリアの絵がついています。
エリザベスの手紙は、結局夢月姫さんが珈琲染めしたものを使用したので本番では使わず。
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そんなこんなで結局徹夜…
昨晩帰った時に勢いでタオルや下着も全部洗濯しちゃったことに気付いて超慌て、城の近所でコインランドリー難民と化す早朝。
モーニングコール&搬入を頼んでいた柊さんにメールを送ろうとスマホを手にすると…なんとフリーズ。これには完全に青ざめる。
PC接続した際に無駄にデータ同期したらしく、有り得ない量のデータが入ってしまい容量を圧迫したらしい。それに気付くまでにかなりの時間を有した、乾燥機が廻る15分が永遠にも感じられたよ…

時間無い時って、機械という機械が歯向かってくるよね。
お陰様でゆっくり風呂に入ることも叶わず、さっさとシャワーを浴びて髪も乾かないまま劇場へ。

今回は、舞台上の所謂仕込み的なものが最小限。
箱馬を少し組み、袖幕を吊り、パイプオルガンのシルエットを切り抜いた幕を吊り…ほぼ終了。
毎回お世話になっているTheater SHINE、毎回お世話になっているスタッフの面々…それはもう慣れたものです(笑)仕事早い…!わたしやること無い(苦笑)箱馬に布貼っただけだな。
あとは、照明さん・音響さんのお邪魔にならないように、ちまちまとオルガンの幕を整えたくらい。

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あれね、なかなか良かったでしょう?フライヤー用に撮影した写真のオルガンをモデルに簡略化した絵をフォトショで描いてね、拡大プリントして接着芯に書き写したやつをカットして、黒紗幕に貼ったのね。予想以上にオルガンだったよね。ま、一番複雑な装飾部分とかパイプの部分は柊さんが全部やってくれたんだけど。鍵盤までしっかり作ってくれたのよ、器用過ぎて震える。ちなみに譜面台の部分は差し入れ届けに来た筈の夢子ちゃんに無茶振りで作って貰いました。
三日月バビロン工作部、恐るべし…

夜から「trill」のきっかけ返し。音響・照明の転換きっかけを順に確認しながら詰める。
今回は、BGMというよりは“演奏している”芝居の為の音響が主だったのできっかけの取り方がなかなか難しい。
カルカント(ふいご師)の動きが音響きっかけになることが多かったのだ。
腹筋と太股が既にぴきぴききていたのだけど…舞台の魔力というか、実際にあの巨大なオルガンのセットの下に居て良い具合に音楽が流れていると、稽古場では無い高揚があるものでね、つい調子に乗って脚上げ過ぎた(苦笑)自爆ですが、それをきっかけに設定したからには本番でも気合いで脚上げましたよ。

照明さん・舞監さんに残って頂き、帰りそびれた今回は制作スタッフ・大輔くんを巻き添えに「櫟の館」の場当たりを少し。

なんとか一通り終え、大輔くんとハンバーグを食べに出掛け、劇場に戻って(劇場に泊まっておりました故)さてやっと眠ろうかと思ったその時…驚愕の事実が発覚。
ミュージシャン・ダンサー陣の控え室(楽屋と別にある)に、姿見もテーブルも無い!
…あれ?前回あったよな?
あるものとばかり思い込んでいた為に、確認していなかったのよね。とりあえずテーブルは発見出来たけど、やっぱり鏡が無い…流石にまずい…
そして真夜中に「姿見貸して!」とスタッフ一斉お助けメールを飛ばす大迷惑をやらかし、ちょうど良く返信してくれたファルさんのお家に即効で襲来。
鮮やかに受付をこなすだけでなく、制作作業で徹夜状態なうえ家の姿見まで快く貸して下さるファルさんは天使のようなお方です。

無事に姿見を運び込み、今度こそ任務完了。
シャワーを浴びて、ぴきぴきな左脚をマッサージし、就寝。


《公演初日編へ続く》

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December 10, 2015

pays de MIROIR vol.2

アートイベント《pays de MIROIR vol.2》無事に終幕致しました。
ご来場・応援くださいましたお客様、最高のかたちでイベントを盛り上げて下さったスタッフ様方、そして出演者の皆様…本当にありがとうございました。

いやぁ、濃かったですね。
ほんと、濃かったでしょう?(笑)
こういうのやりたかったんですよ。
表現のジャンルは違えど近しい世界観を持っているアーティスト同士の競演は、感覚的なところで分かり合えるような気がして、なんだかんだ居心地が良かったです。
とはいえ、芝居とは違うパフォーマーの方、各々の魅せ方やスタンスを感じる瞬間は刺激的でもありました。
反省点は多々あり、まだまだ手探りな部分を感じるイベントではありますが、方向性はかなり掴めてきたかと思いますね。

わたしは、無論芝居が好きでやっている訳ですが、今の劇団を旗揚げした頃ずっと考えていたことがあって…
「芝居がやりたいのかLesMiroirsがやりたいのか」ということ。
再三言っているけれど、うちを旗揚げした当時は耽美だのゴシックだのを謳う劇団は多かったです。勢いや時代の流行りで立ち上げただろう人達ばかりで殆ど消えてしまったけれど。
とにかく芝居をやっていきたいのか、この世界観の中でずっと表現するうえで今芝居を選んでいるのか。というような話で、どう違うのかご覧頂くお客様にとってはどちらでも良いと思われてしまうのかもしれませんが。
とりあえず、わたしは恐らく後者。故に正式には劇団ではなく幻想芸術集団と名乗っています。
この世界観が好きだというのが、芝居が好きだという感覚より先行しています。
ただね、わたし自身は芝居しか出来ないので(笑)今のところ。
色々な方のお力を借りて、こうして多ジャンルのステージングが観られるイベントを開催出来たことは本当に嬉しく思っています。

普段の公演のお客様然り、こういった雰囲気がお好きな方ばかりが鑑賞されていた訳ではないかもしれませんので、好き嫌いは分かれる催しでしょうが…
実際観てみたらハマッてしまったという方がもしいらっしゃったら一番嬉しいことです。
今後もイベントは開催していきたいと思っていますが、回を増す毎に更に濃厚に…幻想耽美な催しにしていくつもりでいます。
偏っててなんぼだと思うので(笑)どんどん異色感を増すものにしてきたいですね。
今後ともpays de MIROIRをよろしくお願い致します。



さて…
とりあえず一段落しつつ、次回公演の準備に取り掛かっています。
折込にも入れましたが、Les Miroirsの次回公演は来年6月。今回のイベント会場と同じTheater SHINEです。
10周年記念公演として、久々に「cramurer」「sirenoye」を再演します。
2本同時上演です。朝霞はどちらにも出演致しますよ。
今回も1日だけとはいえ「trill」「櫟の館」を同時出演状態で出ていた訳で…大変ではありましたが割と耐性がついたかも?と思っています。
「cramurer」「sirenoye」劇団としてもわたし個人としても、どちらもとても思い入れの深い大切な作品の再演となります。
どうぞお楽しみに。

*イベント後記的なものも、追って細かくしつこく此方のblogにアップして参りますのでどうぞお付き合い下さいませ。



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December 06, 2015

出演情報†pays de MIROIR(12/05-06)

公演終了までtop記事に致します。
PC版よりお越しの方、最新記事はこの下からどうぞ。


Les Miroirs 主催アートイベント
《pays de MIROIR vol.2》

2015/12/05-06
@ Theater SHINE

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